公開講評会(参加感想) of 名古屋港ガーデンふ頭を考える学生提案競技 ~名古屋のまちとみなとの未来を考える会



参加感想

学生提案競技に参加したチームの先生方より感想をいただきました。
ありがとうございました。
みなさんのご意見を今後のまちづくりの参考にさせていただきます。

笠嶋 泰(大同大学『Ordinary Miracle Project』)

  • 大学生がこうも期待や尊敬を集めなくなったのは、何時の頃からだろうか。おそらく、新制大学が沢山できた戦後の時期が一つ目の節目、進学率が50%を越え、大学生になることが当り前になった時期が2つ目のそれ、昨今の文科省の大綱化政策の実施時期が3つ目の節目であろう。
  • しかし、その期待されない昨今の大学生がアルバイトとなると精を出すのは、経済的理由ばかりでなく、社会と繋がっていたいと思うためであることをご存知だろうか。
  • 社会に直接的に学生が提言する今回の取組みは、街を元気にするとともに、学生の居場所を確保する試みでもある。
  • この取組みに参加した学生たちは、どのチームも目の色を変え提案作りに励んでいたことが、何よりの証拠である。

小林 正美(明治大学『CATALYSIS』)

  • このような実際の敷地を対象とした提案競技は、様々な意味で重要であると思います。参加する学生は、現実が抱えている様々な問題を直視し、課題解決や将来ビジョンを求めている人々に対して適切な回答を示すために真剣に取り組むため、多くのことを学ぶことができます。また、企画者側は、同時に様々なアイデアを入手することができ、更にメディアの力を借りれば、運動論的展開の契機を得ることができます。私の研究室も同様の試みを全国各地で実施しており、具体的な成果を確認しながらこれらの点を実感しています。しかし、これからはどこまでが自己負担でどこからが企画側の負担かというような基本的な議論も必要となるでしょう。参加者側が不公平にならないようにすることが重要です。

中井 孝幸(愛知工業大学『本が紡ぐ掌 たなごころ』)

  • 5月に笠嶋先生からメールを頂き、東京の著名な建築家でもある大学の先生方が応募されると聞き、正直なところ悩みました。地元名古屋の大学が応募しなければと思いましたが、学会コンペや某プロポーザルに研究室で取組んでいたため、8月18日に全員で現地調査を行いました。
  • この日は客船がガーデンふ頭に寄港する日で、乗客の多くがバスに乗込みどこかへ消えていくのを目の当たりにし、この地に人を留まらせることができ、日常的にも人が集まる施設として図書館を計画することにしました。
  • 地の利を活かして東京からは持って来られない大きさの模型制作、名古屋の文化を織り込み使えば使うほど愛着がわくような提案内容を約1カ月の短期で練り上げてくれました。  
  • 受賞は全く想定外でしたが、みんな一生忘れられない出来事に出会えてよかったな。おめでとう。

萩田 隆義(総合司会/建築家(早稲田大学))

  • 今回のプロジェクトは、名古屋生まれで、現在東京に住む私にとって、興味深いものであった。現在、私は、地名を言われても、直ぐさま思い出せない程に疎遠となっている。人は、何事も疎遠になると、負の思い出は都合よく忘れ、ある意味で全てが美化されるものだ。したがって、もし名古屋に住み続けていたら感じられないであろう、自分なりの新しい文化的な価値感が見い出されるのではと期待した。そのような中、これら一連の活動を通じ、総体的に感じた事は、一言で言えば、「私の中にある夢物語」だった。それは、私が肌身で感じている名古屋そのものであり、現実的には決して負に転じる事はない、夢のような出来事。私は、これからも名古屋の夢を見続けたいと思っている。

星野 裕司(熊本大学『うみ、そら、まちをつむぐ場所』)

  • このコンペに参加した直接のきっかけは,私たちと同じく熊本から参加した田中智之先生の研究室とのコンパで,彼らが参加すると聞き,よし!俺たちも参加するぜ!と,まさに勢いというものでした。ただ参加するからには,土木代表として恥じないものを作ろうと,学生たちに発破をかけました。学生たちは,沿岸環境の先生に何度も話を聞きにいくなど,十分それに応えてくれたと思います。良い都市や環境をつくるためには,ジャンルの垣根を越えて協働していくことが必要ですが,そのためには,今回のような異種格闘技の場が今後も増えていくことが大切なのだと思います。このような貴重な機会を提供していただき,本当にありがとうございました。この成果が,名古屋の未来に活かされることを,熊本から応援していきます。

橋本 雅好(椙山女学園大学『マルチストライプ』)

  • 「名古屋港ガーデンふ頭を考える学生提案競技」の情報を得た時に、名古屋にある大学として是非とも取り組みたいと考えた。その理由のひとつとして、名古屋以外の地域からも多くの学生たちのアイデアが集うという学生提案競技であったことが挙げられる。名古屋地区の学生たちだけで考えるのではなく、多くの地域の学生たちの提案は、刺激になると思った。自分たちのコンセプトとしては、人々の関係性を生み出す場を提案したものであったが、案の定、土木計画的な提案から、交通計画的な提案まで多様で、研究室の学生たちが得た刺激はとても大きかったと思う。これらの成果が、今後の名古屋港ガーデンふ頭の展開に繋がることを願っている。

田中 智之(熊本大学『だんだんうみ、だんだんまち』)

  • ふだん研究室では建築や都市のことを学んだり、考えたりしていますが、地方都市にいることもあり、その題材は自分たちのまち、あるいはどこでもない一般的な「都市」というものになりがちです。
  • 今回熊本でも東京でもなく「名古屋」について考え、なにか提案することは有意義だと思い学生に参加をすすめました。見知らぬまちに出掛けていき、短期間のなかでそのまちを知り、市民の気持ちになって具体的な場所で具体的なことを考える—そんな得難い経験ができるまたとない機会だと思ったからです。プロジェクトをまとめ、そして講評会を終えた現在、学生に変化があったかな?と様子をうかがっていますが、…まぁそんな簡単には結果は出ませんね。

中島 貴光(大同大学『Ripple Effect : Garden』)

  • 具体的な敷地を想定して行うコンペの魅力は多様な議論を提供することにある。リアルな問題に直面するからこそ専門家の閉じた議論に終始することなく、そこに暮らす人たちの想像力もまた喚起することができる。今回のコンペでも期待通り全国の研究室からユニークなアイデアが寄せられ、議論の地平を押し拡げるものであった。しかし、「いろいろ見れて良かったね」だけでは参加した学生たちが報われない。彼らが激しく鎬を削り合うからこそ議論に深みが生まれる。その高い意欲に応える枠組み作りが肝要であることを痛感した。
  • 今回、私たちはホスト校からの参加ということで、全国から名古屋の地に多くの学生たちが集まってくれたことを嬉しく思う。今後も地方から熱い議論の場が供されることを期待したい。

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